【書評】ロープライス・エブリデイを読みました

世界最大小売店のウォルマート、その創業者の伝記です。日本では西友の親会社になっちゃいまして、そのときはアメリカの謎企業すげぇ!イオンとかのアメリカ版かな?とかいろいろ想いを馳せていたところですが、そのうち当然のようにウォルマートについては目に触れる機会、耳に触れる機会はふえていき、ロープライス・エブリデイに出会うのは必然だったよに思います。

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ロープライスエブリディを入手するまでに、様々なところでウォルマートのことを見聞しましたが、最後の決め手となったのが「ザ・プロフィット」という本です。これはこれで素晴らしい本でまた再読をじっくりしなければいけないのですが、その中で師弟の会話で「ウォルマート伝記のロープライスエブリディを読みなさい。小売業やってるなら古典レベルだがね。」とありまして。

Eコマースはそれこそ小売業であり、またセブンイレブンで6年間働き店長を勤めたことがいまとなっては誇りでもある自身にとって「小売業の古典」といわれて手に取らないわけにはいかない。探してみるともう絶版で、Amazonマーケットプレイスでなんとか手に入れた経緯があります。そこまでしなければもはや手に入らないという本もなかなか素晴らしい。
垂涎モノで入手し、電子書籍に本を突っ込みまくっているくせにこの本だけは日ごろもちあるいて、他人に自慢もしつつ(自慢された各人、意味不明みたいな顔をしておりましたが)、実に楽しく読み上げたものです。

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ちなみに、話はそれますが。売り切れているけど人気がでてて、さらには定価よりも高い価格になってAmazonマーケットプレイスで売られている本ほど、なかなか勉強になるものです。過去、そういったものがいくつかありましたが、橋下徹さんの交渉術の著書がヤバかったですね。
定価が1200円くらいの普通の交渉本で、まだまだTVにでる前にだされてたようなのでもう絶版なのですが、大阪府知事に立候補した人気フィーバーのときに内容がすごいと話題になり、2000円に値上がり。買ったはいいもののなんと引越し前の住所に送ってて入手できず、次に見たら4000円になってたのですが仕方なく買い、その本を入手するために6000円払ったことになります。さてその交渉術が今日役に立ってるかと自問すると、胸が痛い思いになりますので、ちょっと再読の時間はつくろうとおもうわけなのですが。

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ロープライスエブリディは話の構成がサム・ウォルトンさんのべた褒めインタビューで構成されてるので、ところどころ気持ち悪いほどの賞賛っぷりがみられるのですが、それは創業者サムさんの強みでもあると思うのです。自分が作り出すもの、評価されるもの、すべて完璧じゃなければ気が済まない。だからお店にはいって改善点は店長と協議する等の細かい業務も怠らなかった。ビジネスって、理想論をいうのは簡単だと思うんですけど、【言うは易く行うは難し】の巨大集合体みたいなもんですからねビジネスって。そう思います。
だから性格からして熱中していたんだろうなぁという点が観測され、熱量と信念と興味というもので強豪を圧倒していたようにおもうわけです。

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この本からウォルマートの大成功を読み解くときに、共通点を見出した過去の本がありました。「スターバックス成功物語」です。ハワード社長による自伝でスターバックスコーヒーまでの成功が描かれておりますが、ウォルマートも、スターバックスコーヒーも、惜しみなくスタッフに株式を分け与えてたんですよね。キャピタルゲインを手にした従業員は、真の意味で会社に貢献すると。ウォルマートなんていうのは、「値下げすればするほど利益は増え、その利益をスタッフに分配すればするほど利益が増えた」という風にいいますからね。普通の経営者だったら逆の判断をしそうなものです。

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じゃあ結局、株式配って上場したらいいね値上がりしたらいいねで、金でスタッフのモチベーションをコントロールするのか、と、いう話になるとおもうのですが、そこに真理を感じるわけですが、半分金で半分愛なんだと思いますやっぱり。そこって直視しないと実は成功に近づけないんじゃないのかなぁと。気合いとビジネスモデルで創業者筆頭株主で崩さず上場している会社のほうが多いなかでも、小売業においては少なくともそうなんじゃないかなと。
金なのか愛なのか、ではなく、両方なんですよね。スタッフが会社を愛してくれるように一生懸命経営理念を話す経営者はたくさんいますし、むしろそれが仕事ですが、非上場時からキャピタルゲインを意識させるアメリカ風のやり方で「ビジョナリー・カンパニー」「従業員が幸せそうな会社」って呼ばれてるウォルマートとか、スターバックスコーヒーとかの事実を、きちんと承知はすべきなんだと思います。まだこのストック・オプションで跳ねた小売業の事例が、読書の蓄積では2社しか手元にないので、心もとない主張なのかもしれないですが・・・。

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ところでセブンイレブン大好きでセブンイレブンはビジネスも品質もよく練られているなぁと関心するわたくしからすると、同じくウォルマートのビジネス開拓は凄まじく興奮するところです。発展途上のアメリカにおいてのアクロバティックなものもあり、参考にはならないのですが、

■自家用ジェット機で空中から出店場所を探した
■ウォルマートを、都会から少し離れたところから囲むようにつくって、その後その都市が成長して都会エリアが広くなってくるのを待つ

などなど、いま日本では出来ないようなモデルさえでてきます。
びっくり仰天ですがこういう考えもつかないものを脳に仕入れておくという意味では意義のある本でした。

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キャピタルゲインの話に戻りますが、本の中には、キャピタルゲインで家を買ったトラック運転手さんの感謝話がでてきます。さすがにその規模はアメリカで・あの時期で・売上10兆規模まで右肩上がりだったから成し遂げたんじゃないの、という風に、規模感に疑問は感じなくもないです。でもそれは古典並の本に2013年のいま手にしてる僕が悪いのでケチ付ける権利はありませんね。