【映画】ローマ帝国の滅亡の感想

「スパルタカス」で紀元前ローマの奴隷戦争をたのしく学んだあと、来春のヨーロッパ旅行にむけてさらなる西洋文化史のインプットをするためにいろいろと映画をチョイス。昨日は、「ローマ帝国の滅亡」を鑑賞いたしました。これも3時間あるんですよね。2時間の映画でさえ全部みるのが辛かったのに、映画のまえには予習し、映画見終わったら復習と感想をして学習に奥行きをもたせるなど、惜しみない時間のつかいかたをしております。

あらすじ
領土を拡大するローマ帝国も五賢帝時代には拡張の限界を迎えざるを得なくなった。蛮族ババリアと東ペルシャはいまだローマに屈してはいなかった。
病床のアウレリウス帝は後継者の選定に悩んでいた。息子のコンモドゥスはあまりに暗愚であり、有能な軍団指揮官リヴィウスに禅譲する以外ないと考えるようになった。しかしながら、後継者を指名する以前にアウレリウス帝は盲目の侍従クレアンデルによって暗殺され、慣習によってコンモドゥスが帝位を継承することになった。 ・・・ 

映画・ローマ帝国の滅亡の感想なんかをシェアさせていただきます。

(1)
結論から言うと、「ローマ帝国の滅亡」というよりかは「ローマ帝国の失敗」みたいな内容だったのではないかと思います。英語タイトルでいうとthe fall of the roman empireなので、「The」まで付くFallが、THE失敗のような感じだったらしっくりくるのですが、史実と見比べてみても、コンモドゥス帝さんの死が滅亡の始まりとするにはなかなか早い解釈なのかもしれません。コンモドゥス帝さんの死から、ローマ帝国の滅亡(西ローマの崩壊)まで、計算してみると300年弱ありましたからね。まぁ、映画は誰かの主観的なメッセージや解釈で描かれてしかるべきなので、むしろ”そういう解釈なのね”という風には、落としこみはできます。

(2)
当時は広くなりすぎた領土、バラバラの宗教に人種、これらを束ねるために皇帝は大変なご苦労をされていたように思います。本作の主人公でありバカ殿役となっているコンモドゥス帝のパパさんは、ある程度良識のある政治をして、各人種とそこの各軍を束ねていたように描かれています。

ただ、一方で、コンモドゥス帝が悪政をしていたかというと、そういう描写は多々あるのですが、じわじわ系ですよね。ディスカッションのなかでそういう事例があったり、いくつかの外交先に対しての態度や、税金UPなどの政策があったものの、それによって苦しむ民や外交先、というのは、コンモドゥス帝への部下からの報告によってしか知ることができません。
アルメニアと戦略結婚させられた姉、という史実と違うエッセンスをいれて、あら可哀想ですね、みたいな話を付ける暇があったら、コンモドゥス帝の悪政をもっと徹底的に描写したほうが、結果的には「ローマ帝国の滅亡」というタイトルと結びついてくるんじゃないのかな?と思ったりもします。

(3)
紀元前73年のローマを描いた「スパルタカス」では、剣闘士(グラディエーター)は奴隷のなかでも最下層の職業ということで、描かれてたのですが、さて西暦180年くらいの本テーマでは、剣闘士が皇帝になってるほど、剣闘士の地位向上しすぎでしょ何があったの?ということになっています。ちょっとWikipediaで追ってみています。引用:http://ja.wikipedia.org/wiki/剣闘士

剣闘士となる者の大半は戦争捕虜や奴隷市場で買い集められた者たちで、反抗的なために主人に売り飛ばされた奴隷が多かった[33]。何らかの理由により自由民が志願するケースもあり、研究者の試算によると剣闘士10人中2人が自由民であった[34][注釈 2]。また、犯罪者も剣闘士として闘技場に送られた[35]。剣闘士は勝ち続ければ富と名声を得ることもできたが、一方でローマ人たちからは「堕落した者」「野蛮人」「恥ずべき者」(インファーミス)と見なされており、その社会的地位は低く売春婦と同類と見なされ、奴隷の中でも最下等の者たちとされ蔑まれた[36]。

↓ここから少しましになり

奴隷の訓練生には劣悪な住居が与えられたが、自由民や勝ち続けた剣闘士の居住環境はましであり、最高位の筆頭剣闘士(プリームス・パールス)にまで上りつめた者は最高の住環境を要求することができた[51]。また、その生活は必ずしも外界から遮断されていたわけでもなく、恋人を持ったり家庭を営む剣闘士もいた[52]。

↓果てには、

共和政期には下層階級の者が剣闘士試合に出ることがあったが、帝政期に入ると騎士階級や元老院階級の者までもが出場した事例もあり[56]、極端な例としてコンモドゥスは皇帝でありながら自ら剣闘士として闘技会に出ている[57]。

となっており、まぁ、よくわかりません。自分で考えろっていうことですかね。Wikipediaでちょっと調べて諦めるあたり、その程度の疑問ではあるんですけど。スパルタカス以降で奴隷に対する取り扱いが、超酷いから酷いくらいにはランクアップしたらしいのと、もともと娯楽としては定番であったことから、意識向上がちょっとあったのと競技として成立してたということでしょうかね。ここで、歴史映画同士の考察が広がっていくとはなかなか興味深いものであります。

次は、それを紐解くため、「ローマ帝国の滅亡」をリメイクしたらしく、さらにこれより面白くなっているという映画「グラディエーター」をチェックしたいと思います。確かに、ローマ帝国の滅亡とまで決めつけてしまう謎エンディングよりかは、バカ殿がゲームに興じながら国が崩壊していくアクション映画、というのも見てみるぶんには、ローマ帝国のあの時期の解釈をひろげていくにはいいかもしれないですね。